飛行機操縦というのは車の運転と同じで慣れてくるとそんなに難しいものではありません。でも管制官とやり取りする航空無線が結構難しい。決まり文句であればスラっと言えるしすんなり聞こえますが、イレギュラーな事を言われると何言ってるかわからないのが本当のところです。
初ソロフライトを終えた後、しばらくしてまた一人で飛び、サーキット訓練をやっていた時のことでした。一人で飛べると言ってもまだどこかにフラッと一人で飛んで行く事はできません。まだそれほどの技量がなく空港の周りを飛ぶのが精一杯という感じの頃でした。
一通り無線の文句も覚えているのでサーキット訓練をする上での無線のやり取りはお手のものです。離陸の許可をもらって離陸して、自分の意図を伝えて着陸許可をもらって着陸する。何回やっても同じフレーズで特に問題なくできていました。
ですが、その日はまったく勉強したことない、聞いたことない事を言われました。
僕が数回タッチアンドゴーをした後また滑走路に並行して反対方向に進むダウンウィンドに入り、いつも通り自分の位置を伝え、タッチアンドゴーの許可をもらうために管制官に連絡した時でした。いつもなら風の情報と自分は何番目に着陸するかなど教えてくれますが、その時は「カヨーリ、カヨーリ」という言葉が聞こえてきました。
カヨーリ?座学でも本の中でも習ったことない聞いたことのない言葉です。その言葉の意味が理解できませんでしたが、着陸しても良いというのはわかりました。僕は「了解」と返事をして滑走路に進入していきました。
すると、進入中遠くからでも前方の滑走路にさっきまではいなかった何かがいました。犬のような狼のような野生動物が3匹ほど滑走路をウロウロしています。
僕はこれのことか!と思いながら進入を続けました。幸い近づいて行くとその野生動物は滑走路脇に逃げていきます。僕は着陸できると判断しそのまま着陸しました。
するとその野生動物たちが僕の飛行機の真横に寄ってきて、一緒に滑走路を走るではありませんか。横を見るといつまでもついてきます。まるで僕たちも一緒に飛びたいよ!と言わんばかりにその早い足でついてきます。
僕は離陸速度に達したので操縦桿を引き再び上昇してきました。後ろを振り返ると「あれ、あいつどこ行った?」という感じでまだその野生動物たちは滑走路をウロウロしていました。
飛行機に接触すればあわや大惨事といった出来事ですが、僕はなぜか少し幸せな気分になっていました。カナダらしいというか滅多にない出来事を楽しんでいましたね。「うぉーなんかすごい!」って感じで。
その後また着陸しましたがその時はもうどこかに行っちゃってて、僕はその着陸を最後に無事訓練を終えたのでした。
コヨーテと一緒に滑走路を走った。 |
仮にコヨーテと言われてもわからなかったかもしれません。本当イレギュラーな事を言われると聞こえていても頭に入ってこないので。それにしても本当ドキドキ・ワクワクしたフライトでした。
野生動物と一緒に飛んだ?フライトなんて後にも先にもありません。コヨーテの英語の発音も知ることができた非常に貴重な経験でした。
それではまた次回の[思い出のフライト]お楽しみに~!
次回は、[思い出のフライト 5] ハイパーベンチレーション!友達の命がけの告白!です!
ありがとうございます。
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